2023年01月02日
■RX-8のRENESISエンジンのまま、筑波サーキット2000で前人未到の1分切り達成 59秒872だエイト!
●分切りしたRX-8のスペック・コンセプト
すでにツイッターやその他SNS等でも報告済だが、2022年の12月27日に、RX-8のNAのままで筑波サーキットコース2000の1分切りを達成した。
タイムは59秒872。
もちろん、RX-8のRENESISエンジンで分切りを達成しているクルマは、ショップデモカーも含めゼロだ。
パンスピードのRX-8デモカーが、2ローターペリ時代に59秒74を出しているとのこと。佐藤さんから、どうせならそこを抜いて、と言われたのでまずはそこをターゲットに今シーズンの更新を狙ってみたい。
現時点の俺カーのスペックは下記の通り。
もちろんナンバー付きだ。
軽量化のために、エアコンコンプレッサーとコンデンサーは外してるが、配管もそのまま、ブロワーも残しており、寒い時期にはヒーターで温めることもできるし、夏の時期にコンプレッサーとコンデンサーを戻せばクーラーも効かせることもできる。
街乗りができるようなレベルをキープし、これから先、RX-8をチューニングして楽しんでいこう、という人たちが、俺と同じ様に、すなわち大きな犠牲を払わないでも十分な結果を得られる仕様でいることにこだわってクルマづくりをしてきた。
その仕様の車両で分切りができた、ということは本当に嬉しい。
やはり、愛車でサーキット走行、という楽しみにはナンバー付き、という縛りはどうしても外したくなかったからだ。
自己満足なことも、単なる自分レギュレーションでしかないのはわかった上で、だ。
●分切りを達成するまでの長いプロセス
俺がSタイヤに切り替えて本格的にアタックを開始したのは、2020年の1月から。
それまではラジアルタイヤにこだわって、2019年1月に筑波0秒台を達成した。それからWTACに参戦し、そこからSタイヤにスイッチしているが、なかなか思ったより数字が伸びず、やっと2021年12月に1分0秒3が出て、分切りまでのプロセスを歩み始めることができた。
結果的に分切りができたのは2022年12月なわけで、Sタイヤでのアタックで分切りを目指し始めてから実現まで、3年を要したことになる。
長かった・・・。
そして自分の中でまず大きかった出来事を語るなら、2022年2月のAttack筑波は外せない。
タイヤ削りのノウハウのある方に依頼し、265の削りGSで走行したのだが、セクター1、2がこれまでのタイムを大幅に更新し、走行中もそれがわかり、これは切れるか!?と思って最終コーナーに飛び込んだ際、本来3速に入れる場所で5速に入れてしまうという大きなミスを犯してしまった。
残ったのは、
悔やんでも悔やみきれない後悔だけだ──────
当日のセクタータイムは以下
[Sec1]24.594 [Sec2]24.770 [Sec3]11.031 [TopSP]172.366 = 1'00''395
最終コーナー、このペースなら10秒6前半はいけた勢いで、そうすればギリギリ分切りができていたかも!?という状況だったからだ。
この時から分切りがめちゃくちゃ目の前にあり、手に入るものだという確信を得て、冬季シーズンでの分切りを自分の中で改めて決意した。
冬季シーズン、というのは通常12月から2月までの3ヶ月を指すが、俺の中では、2022年中に分切りを達成してみせる、という強い想いを抱いていた。
しかし毎年、12月にはエイトリアンカップくらいしかまともにアタックするタイミングを設けていない。
当然1回で分切りが達成できるとも思っていなかったため、12月にアタックが可能そうな走行会を選択し、12月だけで4回の走行機会を設けた。
そして、今シーズンは昨年のタイヤ欠品などの状況もあったことと、可能な限り良いタイミングで新品を投入したかったため、265x2セット、295x3セットのトータル5セット新品を購入した。ちょっと自分の中ではあり得ない投資で、今年でキメてやるとの決意の現れだ。
そんななんとしても12月中に勝負を決める、その12月一発目のイベント、12/4のNRM走行会の日がやってきた。
気温3〜4℃ 1016〜1017hpaと、まぁまぁのコンディション。
265タイヤ新品の削りを入れ、ここで一発でキメられるなら決めたい、そんな想いを持っていた。
しかしここで大きな問題が発生する。
走行会の前日の20時頃に就寝し、2時に目覚め、3時に家を出る、というようなスケジュールでいたのだが、どうしても眠れないのだ。
何度も寝ようと努力しても寝られない。俺は寝るのは得意で、何があろうとも眠れるタイプだ。まさか眠れないなんてことがあるなんて。
何をやってもどうしても眠れなく、それならもうよしずガレージに行くことにした。
で、よしずガレージについてから、テレワークルームのコタツにはいり、仮眠を取ろうするがそれでも眠れない。深夜1:30とかなのに。
それでも横になって目をつぶっていれば身体は休まるはず、と考えてずっと目をつぶって4:30まで眠れない状況で過ごした。
これはなんだったんだろう。ほんとにもうつらかった。
この経験から、今シーズンのタイムアタックでは、前日に筑波に入り、準備をある程度してからホテルに泊まるというルーティンとすることにした。少しお金的には多く発生するが、体力的なコンディションなどを考えるとそっちの方が絶対良い。
結果的にほぼ一睡もせず迎えた12/4のNRM走行会。睡眠不足は走行にはほぼ影響はなく、単に自分の身体がまだ新品に完全に仕上がっていなかったからだろう、1分0秒1が限界だった。
とはいえ、一応は自己ベストを更新できていた。全然嬉しくなかったが・・。
セクタータイムなどは以下。
[Sec1]24.749 [Sec2]24.768 [Sec3]10.649 [TopSP]170.940 = 1'00''166
[Sec1]24.523 [Sec2]24.901 [Sec3]10.678 [TopSP]170.967 = 1'00''102
ベストセクタータイムを組み合わせれば分切っていた。が、切れなかった。
しかし確実な手応えを感じられた。
次のアタックタイミングは、翌週、12/9の毒蝮走行会。
気温2〜4℃ 1022〜1023hpaと非常に良いコンディションであり、参加者の全員が今日はイケちゃうか!?と、浮足立っているような状況。
もちろん俺自身も、だ。
今回は前週のNRM走行会で使った、265のタイヤ中古と、虎の子の295新品を今シーズン初めて投入してみることに。
265の中古は、やはり中古ということもあり、想定よりも良い走りではなかった。悪くはないがよくもない、そんな状況。
しかし295はものすごいショックなくらいタイムが良かった。かつて295で走行した時は、RX-8で295は辛い、と結論付けていたのだが、それが間違っていたのでは?というくらい全然タイムが違っていた。
特にセクター1、2が異次元。これまでのベストタイムを大幅に更新する内容だった。
が、やはり295は全体的にアンダー傾向が強く、走りとして良いか?というとやや疑問ではあったのだが・・
295新品で走行していると、デジスパイスで表示されるタイムのデルタ表示(現在のタイムが、ベストタイムよりどの程度速いか表示される機能)で常に緑色の表示になっており、走っている最中も明らかに速いのはわかっていた。
これがまたメンタルへの悪い影響を与えるのだ。気持ちが入ってしまう、というか、これはイケる!となってしまう。
また295、コーナーでのグリップ感が非常によく、このイキオイなら最終コーナーもミラクルタイム、出せちゃうんじゃね?という欲が出てしまい、ブレーキを弱めてコーナリング速度を上げるように走行してしまった。
これがもう最悪。スーパードアンダーを出してしまい、完全にこのままいけばコースを180%飛び出す状況になってしまい、出口で大きくアクセルを緩めるという、大失敗走行。この日のタイムのコンマ4近く遅いタイムになってしまった。
結果としてタイムは1分0秒084。最終コーナーを無難に走って10秒9だったとしても、分を切っていた・・
悔しくて悔しくて悔しくて、かなり辛かった・・。
この日のセクタータイムは以下。
265 [Sec1]24.748 [Sec2]24.806 [Sec3]10.682 [TopSP]172.772 = 1'00''236
295 [Sec1]24.387 [Sec2]24.660 [Sec3]11.037 [TopSP]172.029 = 1'00''084
仮想→[Sec1]24.387 [Sec2]24.660 [Sec3]10.682 = 59.729
ただ、もう295だったら出せちゃうじゃんってのがわかった。
「絶対」出せるとわかった。
しかし実はこの「絶対」このメンタルが最悪だ。こういう精神状況になると、ホントにだめなんだ、と。
そして迎える、12/17エイトリアンカップ。
気温3℃、気圧1020。投入するのは295の新品2セット目。
前週の状況を考えて、最終コーナーさえ無難にまとめれば「絶対」に分を切れる。
そんな状況は、周りのみんなもそう感じていた様で、RX-8の歴史が変わるのはこの日、エイトリアンカップでそれを実現できるなんて、本当に素晴らしいストーリー、みたいな空気が確実にあった。
俺も当然そう思っていたし、逆にここでミスったらもう話にならないとも思っていた。
スクート小関さんもわざわざ来てくれ応援やサポートをしてくれていることもあり、こりゃここで結果を出さねば、という強い想いにとらわれていた。
そんな状況でスーパーラップを迎える。
俺は車両に乗り込み、タイヤ交換を彗星さんが実施するいつものスタイル。
車両の中で待機している時、自分の鼓動がめちゃくちゃ速くなっているのが自覚できるくらいの状況だった。
その時「あ、今日もしかしてだめかも・・」と頭をよぎった。
こんな緊張、というかテンションがおかしい時にまともな走行ができるわけない・・と。
そしてスーパーラップが開始され、1コーナーに飛び込んだ時、なんかおかしい。自分の走りがうまくできていない。
デジスパイスのタイムデルタ表示も赤く表示されており、タイム更新はおろか、0.2秒以上遅い。こりゃあかん!
全然遅い。
やばい、なにこれ。
気持ちが焦る。が、結果的に全然話にならず、1分0秒2が限界だった。
いったいどうしたんだこれは・・・と思って、ピットに帰ってくると、みんな一様にタイムが遅いという。
よくわからないが、路面がいまいちなのではないか、という結論にはなったが、今考えると、路面はもちろんあったかもしれないが、自分のメンタル面の方が大きかったのではないかと思う。
そして、またもや発生する最終コーナーでの5速投入事件。ホントにこれはひどい。
一体俺はどうしてしまったんだろう・・。
この日は本当に意気消沈し、迷路に入ってしまったかのようだった。
しかしここで、TCR加藤さんやスクート小関さんから、この日の状況を分析し、次につなぐためのアドバイスをたくさんもらう。
自分でも何が悪かったのか、シフトミスやドアンダーはなぜ発生させてしまったのか?などを、ロガーや車載映像などを毎日何度も何度も見ながら、イメージトレーニングを繰り返していく。
運命の日、12/27がやってきた。
いつも通り前日にウォーマーの準備をし、宿泊して早朝にガレージで彗星さんのトラックにタイヤなどを積み、そしてサーキットに向かう。
この日は火曜日。前日の月曜日は筑波サーキットの休業日。前日から入っていた俺は、コースの音も聞いていたが、なにかテスト走行は行っていたのはわかったが、ごく少数の車両しか走行しておらず、ほとんどコースは使われていない。
こんな状況では、路面ができている状況ではないため、スーパーラップの2本目にベストを持ってくる作戦にした。
そこでスーパーラップの1本目は、ハンコックG-MAX SSコンパウンド265の新品。
初めて使うタイヤのため、正直良くわからない。
ただ、巷の噂ではほぼA050 GSに近い、ということであったため、この日の1本目に投入することに。
閑話休題。なぜこのタイヤを購入したか?
10月に、昨年AttackでおろしたGSを、4月のSUGO、7月のAP、10月のファミラ等で使い込み、セットアップや練習としては微妙な状態になっていた。だからといって練習に新品を投入するのも・・と思い、ヤフオクなどを見ていたが、ろくなタイヤが出品されてない。
大した状態じゃないGSに10万を出すのももったいなさすぎるし、誰が使っていたかわからないタイヤでは正直セットアップもクソもない。
そこでG-MAXだ。存在はもともと知っていたが、情報もなさすぎるし、ハンコックには良い思い出がほぼない。特に冬場のハンコックは、TDもZ214もとにかく温まりが遅く、スピンしたりアンダー出たりで話にならなかった。
G-MAXは木下みつひろさんがかつて使っていた、スペコンと同等のタイヤだと聞いており、また、信頼できるドライバーと話をすることもでき、これはそこそこイケるかも!?との確信を得たため購入した。なお、GSコンが20万円程度の現在、G-MAXは60〜70%程度の価格で購入できる。これがもし良い性能ならば、下手な中古より絶対にこっちが良い、となる。
そしてまずG-MAXでアタックしてみる。
詳細なレポートは別にするが、0秒5が出る。
想定通りこの日のスーパーラップ1本目の路面は最悪で、かなりダスティー。そんな状況で0秒5が出ており、もっと路面が良ければ0秒3は確実。GSに限りなく近いと言える。
身体もいい感じで整い、本番タイヤである295の削りタイヤでアタックをする。
エイトリアンカップでおろした新品を削ったタイヤであり、正直新品の最大パフォーマンスは得られない。しかし、これまでの自分の走りからすると、295の中古でもきちんとタイヤを転がし、クルマの行きたい方向に進めさせてあげれば確実に分は切れる。
が、中古なので最悪は出ないかもしれない。なのでそんな肩肘張らずに行こう、そんな想いで走行することに。
この日の気温はなんと朝の時点で-3.5℃。スーパーラップ2本目の8:40あたりで1.8℃程度。気圧が1020hpa。かなり良いコンディションだが、気圧が1023とか1025でもないのでそれほど最強でもない。
このあたりの状況も、無駄な緊張をしないで済むため非常に良い。
アタックを開始。
ウォーマーであたためていたタイヤのグリップ感も良い。
Zummy走行会のスーパーラップは計測2周と決まっているため、これまではアタックまでにインラップを2周かけていたが、今回は計測1周目から全開で行くことに。
1コーナーのグリップ感は非常に良い。路面も完全に出来上がっていた様子。
ヘアピンもよかったが、ダンロップでややロス。
2ヘアは立ち上がりでややミス。ただ大きなロスとなるほどでもない。
そして鬼門の最終コーナー。ゆっくりめに、慎重に3速に入れ、軽くアクセルを入れて音で3速に入っていることを確認する。
そのアクセルオンが余計な挙動となり、アンダーとなってしまう。が、これもなんとかごまかせるレベル。
ステアリングを切りっぱではロスが大きいため、なんとか戻したいが最後にやや戻したくらい、ギリギリごまかしでコントロールラインを通過。
コントロールライン後にデジスパイスのモニターが表示してあるタイムは 59秒88。
キター!
しかし、GPSのラップタイマーは時々スーパーインチキタイムを表示することもあり、いざという時には信じることができない。
そんな不安が入り混じったままパドックに戻ると、みんながバンザイして迎えてくれている。これは分切りできたんだ!!とそこでやっと確信できた。本当に嬉しい。こんなにうれしいことはない。
長年の夢が叶った。
これまで俺は、RX-8で筑波サーキットを、2秒台、1秒台、0秒台とすべて大台の歴史を塗り替えてきたという自負がある。
そんな自分が、RX-8で筑波分切りという歴史を塗り替えることができたのはかなりの嬉しさを感じる。
筑波2000分切りをしたら、次は58秒を・・というのがタイムアタッカーのセオリーだろう。
しかしこれから先、そこを狙っていくことに対する不安や抵抗がある。
というのも、今回の分切りもかなりの無理をしていることだけでなく、気温や気圧といった自分でコントロールできない範囲のガチャを手に入れる必要があり、可能性のある走行会に全部申し込んで、その中から選択していく、というコスト面でも非常に厳しい活動をしていかなければならない。
それを続けるのか?ということに、現時点ではまだ答えはない。
今はどちらかというと、SUGOや岡山国際サーキットのタイムを狙っていく方に関心が強い。
まずは分切りという目標を達成し、一つの区切りはできた。
また新しい景色を見に行きたい。
タイムアタックは、終わりなき旅だから。
セクタータイムは以下
[Sec1]24.324 [Sec2]24.827 [Sec3]10.721 [TopSP]172.139 = 59''872
●御礼
この結果を得るまでに、月並みだが沢山の人たちの支援があった。
いつも、サポートをしてくれた緑の彗星(?)さん。彼にやっと、結果として恩返しができた。
本当に本当に、いつもありがとう!
それからマシンをチューニングしてくれたRE雨宮さん、脚周りをセットアップしてくれたスクートスポーツ小関さん、いつも走りでアドバイスをこの数年ずっとしてくれたTCR加藤さんには本当に感謝感謝だ。
支援してくれたプロジェクト・ミューさん、プレミアム・ジャパンさん、ガレージヤマグチさんにも感謝。
そして応援してくれていたRX-8オーナー、皆さん、そして家族にも強い感謝の念が絶えない。
これから先も、エイトリアンの活動の応援、よろしくお願いいたします。
実のところ、アレ?以前1分切っていなかったっけ?!と言うイメージだったんですが(笑)
ナンバー付きに拘っての達成は凄いと思います。もしかすると、その制限をかけていたから達成出来たのかも。
(どっかのタイミングでナンバー切りに踏み切るとばかり思ってて、パンスピードの前を通るたびに青いボディのエイトをチェックしていたのは秘密だ(笑))
今シーズン前のタイヤ投入本数にはビックリしました。
気候とかあらゆる条件を想定すると結局そうならざるを得ないだろうけど、中々踏み切れるモノではないから、気持ちの追い込み具合が感じられました。
この調子で他コースの更新も頑張ってください!
昔からずーっと書いて来ている、こちらのブログ記事の方に敢えてコメントしてみました☆
こちらへのコメントありがとうございます。
ナンバー付きにずっとこだわっていたので、パンスピードに展示されることはありませんw
やっと分切りでスタートラインに立ったというイメージです。これから何をやっていくのか、少しずつ考えていければと思います。
こんにちは。
半年も過ぎてしまいましたが
筑波サーキット分切り達成
おめでとうございます。
今年〜2024年シーズンの
アタックも期待していますよ。
いえいえ、半年後でも全然問題ないです。ありがとうございます。
今シーズンは筑波はある程度抑えた上で、多少デチューンした形でも分切りができるようなスタイルでいけたらなと思っています。