2021年03月06日

■VALINO VR00βサーキットドライテスト結果報告Part2(TC1000バージョン)

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 VALINOのVR00β、製品版名VR08GPのドライテストを、前回の筑波2000に続き、筑波サーキットコース1000、通称TC1000で実施してきた。
 しかし天候はあいにくの霧、前日の雨も残ってる様子。

 コースに到着し、ドライテストの断念がアタマをよぎる。

 通常、TC1000だと朝一番の枠が走りやすいのだが、この枠は完全なウェット路面である走行しないこととした。

 しかし、時間が経過するにつれて気温も上がり、少ない台数ではあるが車両走行によってレコードラインは乾きつつある状態。

 TC1000は時間が経過するとどんどん路面が悪くなることから、多少の濡れた部分があるのは妥協し9:20枠で走行する。

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 日時:2021年3月6日(土) 9:20〜09:40 ライセンス走行B枠
 気温:11度
 気圧:不明
 車種:マツダ RX-8 (サイドポートチューンNA)
 タイヤサイズ:265/35R18 10J RAYS ZE40
 エア圧:ターゲットを温間2.2とし、FL1.8 その他1.9スタート
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 レコードラインはドライだが、少し外すとセミウェットというイメージ。

 TC1000はコース長も1kmと短いため、計測2周目のアタックは難しく、計測3周目も微妙な感じだったので、計測4周目でアタックを実施。

 1コーナーから2コーナーの全開コーナーはやはりややヌルっとしながら走行するイメージ。
 軽く修正蛇が必要になる感じで走行。VR00βは滑り出しも緩やかなのでこのあたりはホントに素晴らしい。

 トラクションが抜けては意味がないので、ヘアピンなどは丁寧にアクセルワークをしながらコーナーをクリアし、縦にタイヤを使うイメージで走行すればきちんと付いてきてくれ、タイムにも結果は出てくるイメージ。

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 コントロールラインを通過し、アタック1周目のラップタイムは39秒193。おっと、39秒1とか出ちゃうタイヤなのか、2コーナーでの修正蛇、結構入っていたので、このあたりを修正するのと、路面コンディションがよければ38秒台に入ってもおかしくないタイヤと言える。

 1周はミスしたので捨て、もう1周走行しこちらも39秒290。

 39秒台が普通に出る。TC2000の2秒2と同様、TC1000の39秒前半というのも正直驚きを隠せない。

 走行後にエアを計測。2.1。やはりエアが少し足りなかった。
 TC1000だと完全ドライなら計測3周目にアタックすると仮定し、冷間エア圧を2.0をベースにした方が良いだろう。

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 走行終了後のタイヤ。
 TC1000走行後は通常タイヤカスがすごく付くのだが、セミウェットであったことに加え、このタイヤはあまりタイヤカスを拾わない傾向なので、キレイな状態を保っている。

 また、アウトサイドの0.5mm程度の薄い溝もまだ残っている。
 ネットでの噂などで、この溝が消えるとグリップしなくなるということが言われているが、正直そんな感触は全くない。もう少し使い込んでみて、耐久性、グリップ力の維持などについてさらにレポートしてみる予定だ。

 TC2000でもTC1000でも高いパフォーマンスを発揮する VALINOのVR00β(製品版はVR08GP)、非常にオススメなタイヤであることは否定できない。問題は街乗りで使うには抵抗のあるパターンだというくらい。サーキットで走行している限り、ロードノイズもそれほど気になるイメージではない。

 自分は結構このタイヤを気に入っている。


posted by エイトリアン at 22:04| Comment(0) | VALINO VR08GPレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月27日

■VALINO VR00βサーキットドライテスト結果報告

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 VALINO VR08GP製品版がもう販売されているが、以前にウェット路面でのテストでそれ以降、Sタイヤでのアタックシーズンに入ってしまいテストができなくなってしまっていた。やっと落ち着いたこともあり、ドライでのテストを実施したので報告したい。

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 日時:2021年2月27日(土) 14:43〜15:03 ライセンス走行E2枠
 気温:7.6度
 気圧:1027.5〜1028
 車種:マツダ RX-8 (サイドポートチューンNA)
 タイヤサイズ:265/35R18 10J RAYS ZE40
 エア圧:ターゲットを温間2.2とし、1.9スタート。

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 筑波のナンバー付きライセンス走行枠のため、ウォーマーなどは使用せず、そのままの状態でコースイン。
 アウトラップの1コーナーでのテールスライドの大きさから、アウトラップ2周目の全開アタックはやめ、少し抑え気味に走行してみる。

 想像よりも縦のグリップが強い。制動距離は結構短い。アウトラップ2周目では横はまだ甘い感じで、ややテールスライドをしながらコーナーをクリアしていくイメージ。1分3秒335。

 そしてアウトラップ3周目(計測2周目)。ほぼ全開で走行。やや80Rで不安が残ったが、他はほぼ全開で走行し、1分2秒492

 当初の目標としていた2秒5が出た。やはりこのタイヤ、その程度のタイムは出せるか。
 ピットに戻りエアを計測。4輪共に2.2。左フロントだけ冷間1.8としていたのもドンピシャ。

 2秒4のラップはまだミスなどが残っていたため、そのまま再度コースインし、もう一度アタックを敢行。

 2ヘアでテールスライドが出やすくなっているため、丁寧に走行。最終コーナーはクリップ頂点で意図的にスライドさせて向きを変えて全開。1分2秒249
 よし!2秒2まで出た。

 が、今日のコンディションで1秒台を出せる感じではなかったのでピットに戻り、エア計測。
 4輪共に2.2。こちらもドンピシャ。やはり2.15〜2.2あたりのエア圧がグリップもよく使いやすい。

 このタイヤ、剛性感もありテールスライドも非常にコントロールしやすい、とても素直。見た目からすると、すごくトンガったタイヤなのでは?と想像するがそんなことはまったくなく、自然な動きやインフォメーションも得られる、とても普通のラジアルタイヤという感想。A052をターゲットとして、まだその過渡期だという話だが、このまま開発が進んでいったらどうなるんだろう?と非常に期待できるタイヤだと感じる。

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 パターンから、外側のエリアにはタイヤカスがべっとりつくものだと予想していたがそんなことは全然なく、むしろタイヤカスがほとんどつかないタイヤ、というのも好印象。

 ウェットグリップも悪くはないが、やはりパターンが独特なので、街乗り兼用として使って良いのか?という点にだけは疑問が残る。実際に街乗りで自分は使ったことがないのでわからないが、ウェット路面のサーキット走行ではそれなりにグリップダウンを感じながら走行していたので、やはりオススメはしづらい。

 それ以外は非常に良く、驚きでしかない。

 次は、(1)熱を今日入れて、冷えて次走行する時にタイムがどの程度落ち込むか (2)摩耗やライフがどの程度あるか あたりを使いながらレビューしていきたい。

posted by エイトリアン at 21:32| Comment(0) | VALINO VR08GPレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月19日

■噂のVALINO VR08GPの最終β版タイヤ VR00β 先行モニタータイヤが来た!(届きたてホヤホヤ)

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 ドリフトではメジャーなバリバリVALINOが満を持してグリップタイヤに進出。その名もVR08GP。今回導入するVR00βは先行モニターのβ版という位置づけで、サイズは265/35R18に限定、価格も19,800/本として販売された。なお、まだ装着もしていないので実走行インプレは少々お待ちください。

 本タイヤ、ADVAN A052などの国内フラッグシップハイグリップタイヤを最終的にはターゲットにしたいとの意気込みではあるが、そこまで至るにはまだ開発に時間を要すると正直な話も聞いており、現時点ではまず、私も愛用しているZEKNOVAのRS606や、DUNLOP Z3あたりとの比較ができればと考えている。

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 なお、β版だけの話なのかVALINOの文化なのかわからないが、タイヤが箱詰めで届いた。生まれて初めての経験でちょっとびっくりした。

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 先行モニターのフライヤーや、なんとステッカーまで付いているので、このために箱詰めになっているのかもだが、正直・・箱は・・いらない・・(笑

◆タイヤの見た目
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 早速外観チェック!
 このblogの見出し画像にもしてあるが、タイヤパターンはまぁもうハンパないやる気満々。
 A052的なパターンでもあるし、ある意味5fivexのGerun Ultraの様なハーフスリック?の様なイメージとも言える。溝はあるといえばあるが、ほぼないと言っても過言ではない薄さだ。

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 アウトサイド、つまり車体の外側の面には、バーン!とVALINO VR00βの文字が。こういうマーケティングはとても良いと思う。手間もお金もかかるのでなかなかやりづらいだろうが、パッと見てすぐ使ってる人がわかる。特に今回は先行β版ということもあり、アーリーアダプター、すなわちこういうタイヤにすぐチャレンジする人、というのがわかるのは、サーキット内での交流にも役立つので、プロではない自分の様なサーキット愛好家にもありがたい。

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 タイヤは、日本設計中国製造、と、最近の流行りのアジアン?タイヤの傾向。

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 タイヤの製造週などは、ちょっと他のタイヤと刻印の仕方が違っていたのでコレで良いのかはわからないが、とりあえず2020年の27週であると思われる。

 なお持ってみた時の重さは、ちょっと重いかも?だ。
 価格からも推測できるように、ケプラーを使ってるとは想定できないため、剛性を出しながらもグリップを高めるために、カーカスやワイヤーのテンションを上げるのではなく、ビード部のワイヤーなどを多く使い、そのために重量が増しているのでは?と推測する。このあたりは安価なアジアン系のハイグリタイヤでは仕方がないところか。

◆タイヤの設計

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 タイヤにはUTQGの表記もなされている。
 開発版だからか、製品版もなのかは不明だが、TreadWareの表記はない。
 触った感覚では柔らかい感覚で、いきなりド溶けな感じではない、腰がある感じ、という感触。BSのRE-71RやA052に近い感覚なので、勝手に推測した感じでは、TW180〜200あたりではないかと思われる。なお、なんの保証もない「触っただけ」というTWの値を語るには無意味な話なので、タイヤオタクの戯言と思っておいてもらってちょうど良い。

 Tractionはいわゆるウェットグリップだが、AA。まぁ、こればっかりはパターンも結構影響してくるので、UTQGの表記を鵜呑みにするのも、というところか。

 Temperature、熱ってことだがいわゆる耐熱性、放熱性の項目もA。つまり全部最高レベルにある!って意気込みのタイヤってことになる。

 なお、UTQGは盲目的に信じる様なものでもないので、この辺は参考値ということで捉えてもらえれば。

 なお、メーカーの方に、本タイヤの現時点での想定性能を聞いたところ、今回投入しているコンパウンドは、アタック1〜2周でピークを迎えてあとは終わり、というようなあまり尖らせたものではなく、ある程度周回もこなせる仕様となっている、とのこと。

◆新品時のタイヤ残溝

 イチバン気になるのがこの残溝だ。
 最近のハイグリの傾向は、溝を浅くしてよりブロック剛性を高めていく、という方向であり、下手すると半分は薄い穴をいくつかもうけるだけ、とか、半分はスリック構造、みたいにそもそもブロックを少なくしていくという、それいいの!?って極端な例もあったり。

 今回のVALINO VR08GP(VR00β)も若干極端な方向に片足は突っ込んでいそう・・ではあるが、ギリギリ守り切った、みたいな印象。

 じゃあ早速残溝を。

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 イチバンIN側の溝は約5mm。

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 真ん中の溝もIN側とほぼ同じ。5mmか4.99mmかというところ。

 参考までに。
 A052 5.1mm
 RE-12D Type-A 4.9mm
 RE-71RS 5.2mm
 RE-71R 5.8mm
 ZEKNOVA RS606 6.5〜7mm

 こうしてみると、以下にVR00βが残溝で攻めているのかが良くわかる。

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 そして来ちゃったこのアウト側の溝?

 パイセン・・どうなのよ、溝って言っていいのかしら・・(笑

 えーと、1.8mmくらいwww

 ヤフオクで残溝1.8mmですとかのタイヤだったら、スリップサインが1.6mmとして、ほぼスリップで終わってるタイヤって感じだぜ。
 正直ここは、おまけ程度にちょっと溝作ってみましたってだけだろう。
 すなわち、このゾーンは実質スリック的な動き、ブロックがない、といえる。が、1.8mmとはいえ縦溝があるのはでかいので、ウェット路面に於いて、少なくともこの溝があるうちはまだ排水性は多少、いや、少しは、いや、ちょっとは期待できるのかもしれない。

 が、別に書いていて思うが、皆さんあんまりウェットグリップ興味ないですよね。このタイヤ履きっぱって人も少ないだろうし・・。
 でもラジアルタイヤである以上、走行中にウェットになることも当然想定され、あまり極端なパターンはやはり推奨しづらい。そういう意味では、IN側の2本の縦溝は十分な太さも設けてあるし、アウト側も一応縦溝があるということで、公道走行に極端な危険さがあるようなタイヤではないだろう。この辺はきちんとメーカー側のモラルが働いているといえる。

 以上、とりあえずタイヤが届いてからわかる範囲のレポートなる。

 次回、サーキットでの実走行で、VALINOのVR00βの性能を確認し、レポートしたい。


 
posted by エイトリアン at 10:59| Comment(0) | VALINO VR08GPレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする