2024年08月10日

■VALINO新作タイヤ VR08GP SPORTでTC1000タイムアタックリベンジとロガーテストを実施しました

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 前回テスト時に、食ってない、グリップ力が低いと評価した VALINOのVR08GP SPORTだが、TW300というコンパウンドが全く溶けてなかったことから、じゃあ真夏の路温がめちゃくちゃ高い時期に走ってみたら溶けてグリップが得られるのではないか?というテストをしてみた

 結論から言うと、真夏ならたしかにコンパウンドにそれなりに熱は入るが、それでも運動エネルギーを熱エネルギーに変換する力が弱い、すなわちコンパウンドの質が良くない、となる

 もちろん、エコタイヤのようなものではないので、ハイグリップ上中下、というランクがあったら、ハイグリップ中の下、というグリップ力と思ってもらえればありがたい

 <なんの根拠もない勝手な分類>
 ハイグリップ上⇒05D、12D、052、71RS、200R
 ハイグリップ中⇒Z3、AD09、VR08GP 新NEUMA
 ハイグリップ中の下⇒Goodride、VR08GP Sport
 ハイグリップ下⇒アドレナリン

 この日の気温は、計測してないがたぶん35℃くらい
 エアは温間1.7〜8を目指して冷間1.3でスタート

 1本目41秒524

 確かに前よりはグリップするが、やはりここぞというところの横グリップも縦グリップも足りない
 フロントも横に踏ん張ってくれない

 ちょいつらめ

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 ちなみに今回、HRDさんからロガーをお借りして、自分の車両のデータ収集テストも行った
 俺はOBDポートにつなぐメーター系などは一切装着しない派
 ほとんど問題ないんだけど、ときたま通信のエラーなどで車両にエラーが発生する場合がゼロではないので、そういうリスクを排除するために、だ

 が、OBDポートを経由して、単なるCAN通信で車内にブロードキャストされているデータをhearするだけならば問題は起きないのでは?、という話をHRDさんに教えてもらい、自分なるほど、確かにそうなんだということの確信を得るまで調べることができたので、今回、HRDさんから、バイクのレースガチ勢の間では鉄板らしい2DというメーカーのCANロガーをお借りしてCANロガーを借りてテストをした
 4輪だと、スーパーGTのグッドスマイル初音ミクZ4にも使われていた

 CANで色々なデータが流れているのは知っているが、ブロードキャストされているデータと、問い合わせをして答えてもらうデータの2週類があるってのは知らなかった

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 4輪それぞれの速度、それに合わせてスリップ率、ステア舵角その他なんでもブロードキャストされているデータが取れるので、すごく参考になる

 タイヤのグリップは、スリップ率115%程度が一番良いということで、ロガーデータから縦のスリップ率がまだ不足しているので、少し縦を意識して、リアタイヤをエア張り気味にして走って見ては?との提案があったので、リアのみ0.4キロ追加して再度走行を実施

 縦のスライド?があってもそのままアクセルを戻さずに走行してみるなどもチャレンジ

 結果的にタイムは少しあがり、41秒264

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 今回、全面的にお世話になったHRDさんには大感謝です

 ということで、ド真夏にテストをした結果として、やはりSPORTは、タイムを狙っていうタイヤではないとは言える

 が、じゃあつまんねーのか?っていうとそうでもない
 食わないタイヤでもないし、タイムが全く出ないタイヤでもない

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 こんな真夏に走ったあとでもトレッド面はめちゃくちゃキレイで、耐摩耗性で言えばピカ一
 でも、こういうタイヤを買う人が求める部分ではないと思うので、この辺は再検討して欲しいところ

 なお、タイヤ交換する気力も起きないくらい暑かったのでそのまま帰宅したが、ロードノイズも少ないしとても街乗りでも乗りやすいタイヤなのは間違いない

 温かい時期であれば、街乗り+サーキットというニーズにピッタリな仕様だと思うが、路温が低い時期だとかなり辛いので、やはりTW300というコンパウンドを、TW240程度まで落とすなどを検討して欲しいところだ

posted by エイトリアン at 16:18| Comment(0) | VALINOタイヤレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年07月20日

■VALINO VR08GP NEUMAの新しいモデルを試してみた(結論:かなりイイ)

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 タイトルですでに結論を述べているが、かなり良いタイヤだ

 以下、詳細レポート

 VR08GP NEUMAというタイヤが発売されたが、VALINOがメーカーとしてさらなる進化をさせたい、という意図で、リリース後のこんな短いスパンで新モデルに変更して試作品を作ったので、試させてもらうことにした

 金型やコンパウンドは全く同一で、構造を大きく見直して変更したとのこと

 これまでのモデルはVR08GPと同じコンパウンド、構造で溝を深くしただけのモデルだった
 すなわちグリップを得るための熱容量のバランス、及びゴムと路面の接点の分散がうまくいっていなく、想定通りのグリップを得られていなかった、と予想していた

 VALINOでも同様の見解だった様で、今回は熱容量部分は敢えていじらず、構造部分を変更してきたというのは、アプローチとしてとても良いと考える
 構造強化の詳細は不明だが、ケーシング剛性を高めてきたことはグリップが上がることが大きく期待できるため、真夏の猛暑ではあったが、筑波サーキットコース1000で実走行テストを実施した

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 タイヤ:VALINO VR08GP NEUMA Newモデル 2024年25週製造
     ホイール 9.5J +45 (+5mmスペーサー)
 車両:RX-8 エイトリアンスペック
 気温:30度 路温 40度over

●1枠目走行
 10:20〜

 エア圧冷間1.4スタート(温間1.8目標)

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 コースイン後、明らかなグリップの高さを感じる

 路面温度が40度オーバーということもあり、タイヤの温めはほぼ不要
 計測1周目からほぼ全開でいける

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 1コーナーの飛び込みが、これまでのモデルとは異次元レベルで良い
 簡単なリアブレイクなど皆無
 もちろん、超ハイクラスのハイグリップラジアルタイヤやSタイヤではないので、オーバースピードで突っ込んだらもちろんドアンダーだが、斜めにGを掛けて飛び込んでもそれなりにカバーできるというのは、これまでより明らかな進化

 特に1コーナーを抜け、ボトムのポイントからのグリップが段違い
 きちんとふんばって立ち上がってくれるのがマジで嬉しい

 ただ、溝が高い分、このような1コーナーの様なピークのGが強いコーナーだとヨレが発生するので、これまでよりは明らかにグリップ力は高いが、そうはいってもヨレの分、ややグリップダウンは起きてしまう

 ただ、これは浅溝化で解決できるポイントだろう

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 この枠のベストタイムは40秒014
 正直39秒台入れられるかと思ったが、車両のマフラーのトラブルでパワーダウンが発生しており、そこまで至ることができなかった

●2枠目走行
 11:20〜

 エア圧1.5スタート(温間1.8目標)

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 車両トラブルが解決せず、パワー感がやや落ちてはいたが、テスト決行
 真夏の恐ろしいほどの気温、及び路面温度にも関わらず、グリップのタレはあまり感じられない
 もちろん後半はタレてくるが、途中で大きなタレやヨレなどもなく、概ね安定的にタイムを出すことができる

 特に最終コーナーのアプローチ、Sportは言うもがな、08JPNでもかなり意識して丁寧に走らないとグリップを失う傾向にあったが、必要以上に丁寧にアプローチしなくてもグリップがついてくるのがとても嬉しい(うまく伝わるかな?)

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 残念ながらこの枠でのベストタイムは40秒450
 39秒に至らず

●タイヤ評価
 VALINOの本気を見せてもらった気がする
 これまでのNEUMA、SPORTともに正直かなり微妙なものであったが、このNew NEUMAはかなり良い
 当然だが、08JPNより明らかにグリップレベルは高く、冬場なら38秒台も狙えるかもしれないレベルだ

 ただ、まだシバタイヤR23 200Rよりも横グリップの安定感には至らず、TC1000でもコンマ3秒程度ビハインドがあると思われる

 パターンは現状でも排水性やロードノイズなどの面からも変更せず、として、対策としてはあと少しトレッド面のヨレをなくしたいところ
 シバタイヤの200Rでも同様の傾向があるが、やはり高速コーナーでの横Gが掛かった時には溝の高さから当然グリップレベルが落ちる

 ここの対策をすることで、より良いタイヤになりそう

 ケーシング剛性はこの程度で十分だろう
 もちろんもっと上げたら・・という期待値はあるが。

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 新品状態で10mmの溝はちょっと多すぎる感が強い
 熱容量、という観点ではありかもしれないが・・

 できれば溝をあとは4〜5mm程度浅くして、ゴムの変形を少なくして欲しい
 これによってもっとグリップ力が得られるはず

 結論として、このタイヤはとても良い、ということだ
 スタートラインとして十分な性能を持っている

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 走行後のトレッド面などを見ても、とても綺麗に削れている
 真夏のTC1000を20周以上走行した状態として見てみても全く問題ない、というかものすごく綺麗

 現状、New NEUMA(ニューNEUMA)は、2024年25周モデル以降が該当し、現時点では265サイズのみ
 8/9(金)にTC1000で開催する、若手優遇走行会のテストとして用意する予定
 試し履きしたい方は、ぜひ若手優遇走行会へ!(29歳以下の方のみ参加可能です)

 やっとここまで来た
 なんかとっても嬉しい!

 もっともっと良いタイヤ、期待してますぜ!VALINOサン!

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 ちなみにこの日、暑すぎてまた熱中症気味になってた
 身体に熱が蓄積され、それが取れない感じ

 皆さん真夏の走行はホントに気をつけましょう・・

(写真) わいもさん たくさん写真ほんとにありがとうございます!
posted by エイトリアン at 20:31| Comment(0) | VALINOタイヤレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月24日

■VALINO新作タイヤ VR08GP SPORTでTC1000をタイムアタックしてみた

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 VALINOのVR08GPという、半分がほとんど溝がないスリックみたいなタイヤがあったが、現在は終売モデルとなり、代わりに同じパターンで半分側も溝が深くなったモデルとして、VR08GP NeumaとVR08GP SPORTという2モデルが発売された

 VR08GP neumaはTW200
 VR08GP SPORTはTW300

 と、摩耗性で差をつけてあるので、自分のカーライフにあったモデルを選ぶのが良い、という形になっている

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 なお、残溝は深いセンター?グループの位置で6mmちょい
 もともとVR08GPで2mmとかの浅溝だった部分は5mmちょいくらいとなっている

 今回、あえてグリップ力の高いNeumaではなく、SPORTを選んでテストしてみた
 というのも、普段街乗りでも走行し、たまにサーキット、という人に向いているタイヤと聞いたので、そりゃいいじゃん!て思って、Z3の対抗馬としてどこまで使えるのか?をすごく知りたかったからなのだ

 早速この手のタイヤの比較に最適な筑波サーキット コース1000 (TC1000)でテストしてみた

 この日のコンディションは風も強く、お世辞にもあまり良くなかったし、毎回フルグリッドなイメージでクリアラップは取りづらいという状況だったが、タイヤの特性を知るのでタイムは二の次と考えていたので問題なし

 気温は約10℃程度
 路温は計測できていないが、12〜5℃程度はあったと想定

 TW300なのであまり温まりは良くないと想定されるが、まずは念入りに3周程度温めてアタック

 1コーナーでものすごくリアが出る
 おっとっとというイメージでまだ温めがたりない?と思ってさらにリアタイヤを中心にあたためてテストを続行するが、全然グリップが立ち上がってこない

 1コーナーで無理して入ったらスピンモードに突入
 ヘアピンでターンイン時にオーバーステアで頭は出口を向いてくれるがトラクションが掛けられない
 インフィールドも同じ、ターンイン時のオーバーステアと出口での踏ん張りのなさで我慢

 最終コーナーはより顕著で、向きが変わって一気に立ち上がりにトラクションを、と思ってアクセルを強めにいれるとホイールスピンしたり横に抜けたりしてしまうため、丁寧にアクセルを踏む必要があり、ストレートの速度が伸びずタイムも伸びない、そんなジレンマに悩むタイヤに感じる




 外撮り動画はこんなイメージ
 最終コーナーでのフロントタイヤの踏ん張りがもう少し欲しいのと、我慢のアクセルの入れ方となっている

 もちろんセカンドグレードタイヤのようなフロントから抜けるようなことはないのだが、横方向の強いグリップ、踏ん張りが足りず、食ってない、という感触だった

 当初は39秒台のどの程度が出るかな〜?と考えていたが話にならず、40秒368が限界だった
 しかも、コーナーはほぼ犠牲にし、低速でコーナーを丁寧に丁寧にクリアしていく、という走り方をしてやっと、という感じだった

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 リザルトその1

 タイヤ表面を見てみるとほぼ20分フルで走ったにもかかわらず、キレイなモノで、まったくゴムが溶けてない、そんな印象の表面だった

 エア圧は1.6スタートで2.1前後ターゲットで走行終了後は2.0〜2.1と狙い通りではあるのだが、ゴムがグリップしてないという感触

 面圧がかかってないのでは?と想定し、エアを2.8で試してみたが特に変化なし
 一気にエアを落としてもっとゴムを動かしてみよう、と1.6あたりを試してみるがほぼタイムは40秒5前後

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 リザルトその2

 このタイヤのターゲットはZ3とのことだが、そんなレベルではなく、アドレナリンよりは良いが、Z3より下、そんなパフォーマンスのタイヤと感じる

 しかし、265/35R18ではなく別のサイズだとまた評価が違ってきているらしい
 ある程度扁平が大きい、225/40R17や205/50R16あたりだと想定に近い性能というコメントも来ているとのこと

 なのでこのタイヤ自体のすべての性能ではないという前提付きではあるが、少なくとも265/35R18のサイズについては、もっとタイヤのゴムが溶けなければグリップは得られない

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 この写真はTC1000の20分の走行をほぼフルで3本走行した後の状態
 なんにも起きていない

 ゴムの変化はほぼなく、表面だけでこすってる状態、というイメージ

 確かに減り、ライフという面では優れすぎているくらいの仕様だが、サーキットでも使えるタイヤ、というリクエストに対しては不満が残る

 温まりにくい=OK
 減りにくい=とてもOK
 ゴムが溶けない=NG
 横グリップ=NG
 縦グリップ=△

 気温も路温もそこそこ低いが、低温すぎるというわけでもないことと、周回数を重ねていることを考えれば、もう少しゴムが溶けて欲しい

 TW300のゴムはちょっとサーキットタイヤとしては厳しいのかも
 もちろん真夏の路温4〜50℃とかの世界では溶けて来るかもしれないが、さすがにピンポイントすぎるのでやはり作動温度は30℃くらいから来て欲しいというところ

 TW200だとサーキットに寄せすぎなイメージなので、TW240あたりのもう少し柔らかめのゴムを使った方が良いのではないか、と考える

 せっかくの良いコンセプトなタイヤだけに、かなりもったいない
 あと少し改善して欲しいということで、そういった要望を上げていきたい

 VALINOタイヤについてのテストはまだまだ続きます

 若手優遇走行会でVALINOさんにVR08GP SPORTをご用意いただき、皆さんでテスト・コメントをいただく予定でしたが、少なくとも265サイズでは皆さんの期待値に至らないと判断したため、緊急でテストタイヤを準備していただくこととしています。

 こちらも別途blog記事をupします

 265サイズでは別のテストタイヤ、評判が良い225/40R17及び205/50R16の両サイズではVR08GP SPORTを準備して試して頂く予定です。

 なお、265のテストタイヤはとても良い感じです。

posted by エイトリアン at 00:04| Comment(0) | VALINOタイヤレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする